まったく本当に心からシビアな WRC
Subject: 2001 WRC の感想
From: サカタ@カナダ
Date: Sun, 06 Jan 2002 01:51:06
カナダに住むサカタと申します。半年ほど前から WRC LAND でラリーのニュースを読ませていただき、感謝しております。先日こちらのモータースポーツチャンネルで、朝から晩まで WRC という超マラソン放映がありました。2001 シーズン WRC イベントのほとんどが見られて大感謝し、そしてラリーのすさまじさに震え上がりました。このスポーツは、まったく本当に心からシビアであると思いました。

その速さと走る道の狭さにまず圧倒されたのですが、シーズンを通して見て驚いたのは、どんな優れたドライバーでも「なんで?」というところでハンドルを切り損ねてクラッシュしてしまうことでした。クラッシュの瞬間だけを車載カメラで見ていれば、「なんでそんなミスを」と見えるのですが、実際は十数キロに渡る超緊張状態の中での一瞬の空白によるミスなわけですね。まったくのノーミスで駆け抜けるなんて人間には無理だというレベルの競技だと思いました。そして道幅がないためミスしてからクラッシュまでの時間の短さは驚異的で、ミスをしても立て直しが利くサーキット競技とは比べ物にならないほど厳しいと感じます。見ているのが、ほとんどつらいほど。けれど彼らの走りは本当に素晴らしく、僕にはあらゆる車の競技の中で最も面白いと思えるのでした。

ドライバーはコリンマクレーが今最速なんでしょうね。フォーカスに並みの信頼性があればかなりのポイント差でチャンピオンを獲っていたはずですから。そのクールな喋り(がスコットランドなまりが強烈でなにを喋ってるのか分からない・笑)と熱い走りに人気が集まるのは当然だと感じました。スコットランドのファンがスカートをはき国旗を振って彼を応援している姿は感動的でした。オーストラリアラリーで、自分のために失格覚悟で前を走る同僚ドライバーがクラッシュしたときに、彼が躊躇なくセッションを捨てたのもイカしてましたね。スバルが好きな僕は、フォーカスというマシンにレーシングマシンとしての魅力があまり感じられないこともあり(フォードファンの方、失礼)、なぜ彼がスバルからフォードに移ってしまったのだろうと残念に思います。彼がスバルを離れるにあたって、チームとの間になにか問題があったのでしょうか?

同じくスバルから離れてしまうバーンズも、クラッシュしたときの顔や「なんなんだよ!(What happened!?)」という声が気弱なセーネンっぽくて好感が持てました。マキネンは、TV 上では英語でインタビューに答えているせいもあるでしょうがひたすら寡黙で、感情移入しにくいものがあります。がドライブ中の険しい表情は誰にも負けず気高く美しい。グロンホルムはその喋り口に、どこか江戸っ子のようなキップの良さを感じさせます。英国ラリー後、皆がリタイヤしたので余裕でしたねと聞かれた彼は、「いや俺は誰がどんな風に立ち向かってきても勝負できるとハナから思ってたけどね」と真顔で答えていました。かっこよし。しかしプジョーはなにゆえにあれほど速いのでしょう。

オリオールやサインツらのベテランが、酸いも甘いも痛いも屈辱も噛み分け尽くしたという、ある種人生の達人のような風格を漂わせているのに対して、ソルバーグなど若手はやはりまだのっぺりしているなと思います。彼がクラッシュした瞬間コ・ドライバーに「気を付けろと言ったろ!」と怒鳴られビクっとしているシーンがあって笑いましたが、別のクラッシュ後にやけにサバサバしたコメントを吐いているのを聞いて、もっと口惜しがらねばいかんぞお前と思いました。

そんなこんなで、間もなく突入する 2002 シーズンに向けて最高の予習ができて、さあこい新シーズンと楽しみにしているところです。ではまた(長文陳謝)。


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