【Journal】アマチュア革命

■ 00/10/18(水) 13:56:43 □ Palm Pilot
 Mが寝不足と風邪で不調(俺も喉が痛い)で、俺はタイトな仕事が入ってし まい、MKにヘルプを頼むこととなる。ぷー。  仕事の合間にMKの Palm Pilot で本格的に遊んでみたのだが、あの簡略ア ルファベット『グラフィティ』という入力形式は簡単で効果的だった。ひらが なの「く」と書くと、アルファベットの「K」として入力されるという案配。 コンピュータにとっては、ほかの文字との誤認識のしようがないわけだ。仮想 シフトによる記号入力などもよくできていて、すぐに文章が書けるようになっ てしまった。入力に関しては、キーボードがない場合あれがベストだろうと思 う。あれから漢字変換したらよけい手間がかかるのでどうだか分からないが、 たぶんひらがな認識入力よりは早く正確だろう。  しかし本当の絵を描けるのは楽しいが、全体としてはインストールされてる アプリが、ノーマルのままじゃトーイだなという感じ。もっと本格的なアプリ があるのかもしれないが、Todo リストやメモは単なる白紙であった。編集も カーソルがないわけで、ペンでブロックして移動などという操作なのだからさ ぞ大変だろう。まあメモを貯えて PC で処理というツールなのだろうが。その 点、生の DOS プログラムが使える俺のモバギアはえらいというか、ツールと しての完結性が桁違いだなあと思う。万一モバが壊れたら Palm Pilot かと思っ ていたが、やっぱりあれじゃつまらないなと改めて思った。
■ 00/10/23(月) 14:44:31 □ M父見送り
 今日は萌が泣かないでいてくれたおかげで、高速→空港→買い物とすべてが 予定通りに運んでいる。M父は萌が見送りに来てくれたと非常に喜んでくれ、 萌を抱いて空港内を散歩していた。それを見ていて「いい人ではないか」と改 めて見直した(笑)。見送りというのはいつも面倒だが、来ると来た甲斐が必 ずあるものだなと思う。 ----------------------  いっぺん出かけるとリズムが狂うらしくて夕方萌はなかなか眠れなかったの だが、それでもぜんぜん泣かなかった。キーと奇声を上げて、ややヒステリッ クなほどにハッピーであった。これをMは manic といっていた。辞書を引 くと『【形】躁病の』とあり、まさにそのとおり。これが嵩じて泣くだろうと 予測していたのだが、夜になってもほとんど泣かず、ソファの上でいつか眠り に就いてくれた。萌的にはすばらしい一日であった。
■ 00/10/25(水) 14:45:17 □ おののきの Air Care
 恐れおののきの Air Care(車検)。これに落ちたら車の大修理である。オ イル・水・プラグをチェックしてからクリーン燃焼を目指してハイオクを入れ、 ゆっくりとエンジンを温めながら会場に向かう。テスト房に入ったときにはも う自分がテストされるかのようにドキドキであったのだが、40Km/h ホールド、 アイドリング共に難なく(数値を見ればけっこうぎりぎりかと見えるが、標準 が分からないのでなんともいえず)パスしてくれた。えらいぞうちの Civic。 ふー緊張した。  ここのところしばらく萌は、食後にたまにガスが発生するほかは実に機嫌が よく、四六時中笑いっぱなしである。俺たちの膝の上でおとなしく座っていて くれることが多くなり助かる。その膝の上からしょっちゅう俺たちの顔を見上 げてはにまあと笑うのだからたまらない。毎度毎度こちらも笑ってしまう。 ----------------------  今朝 eMemopad の作者様からメールが届いていた。ずいぶん前に出した要望 の返事で、4点すべてが採用され実現に向けて動いているとの知らせ。一番難 しいかと思っていた「ツリーの真のアウトライン化」がすでに実現されていた のには感動してしまった。これで現在開発中だというインポートツールが完成 すれば、Win 5年目にしてついに完璧なテキストデータベースが作れる環境に なるのである。待ち遠しい。
■ 00/10/27(金) 11:06:44 □ 細野CD
 細野 CD を初めてちゃんと聴いた。70 年代の歌ものはどれも佳曲揃いで、 80〜90 年代の環境音楽ものは YMO(ファミコン音源のみでやったのかと思う ようなすごい曲があった)以外退屈であった。なんでこんなにいい声をしてる のに環境音楽なんかやってるのか不思議。  細野晴臣、鈴木茂、林立夫、坂本龍一、矢野顕子というすごいメンバーでやっ た「蝶々さん」などのライブが絶品であった。「このライブはよかったよなー」 とカセットで音を残しておいたという感じの音。ここからの流れで YMO がで きたらしい。やっぱり楽器がうまい人たちが集まってなにかをやるというのは 実にいいと単純に思う。俺もカナダに来てからアコースティックしか弾いてな いおかげで、確実にうまくなっている。高校大学時代にまじめにアコースティッ クを弾いておけば、もっとうまくなれたんだろうなあと反省する。運指速度な んかが問題なのではなくて、楽器はタッチとタイム感なのである。
■ 00/11/01(水) 23:13:58 □ なにもかも変換してしまえ
 eMemopad のテストを続け、マクロをていねいに作ったらテキストファイル のインポートに成功したので、一日萌の世話をしながらテキスト→ eMemopad 変換をやっていた。やはりカテゴリ分けしたいネット記事などの仕分けには絶 大なパワーを発揮している。  HCの「ハードレイン」の歌詞が古いテキストデータの中から出てきた。 思い描いているんです、思い描いているんだよ 僕が30歳になったときは 自転車に寝袋を縛り付けて 離れた土地から君に手紙を書こう たんぼのはずれの大きなポストから 釣り道具屋の横の古いポストから 函館の朝市を通り抜けて ロープウェイの下の赤いポストから そして僕はとめどなくとめどなく 僕のギターを弾いてるだろう 思い描いているんです、思い描いているんだよ 僕が40歳になったときは オートバイに白い月夜のテントの中で ガソリンランプの光で君に手紙を書こう 僕が見ている南から北のありさまを 押し花のように並べ君に見せるよ 今夜国道に並ぶテールランプの灯かりが オレンジ色の枝の木苺のように 鈴なりに生って丘を越えていたよ そして僕はとめどなくとめどなく 僕のギターを弾いてるだろう  テントの中で国道の渋滞情報をラジオを聴いて、暗やみの中でテールランプ が目に浮かんでいる。そんなあの頃を思い出し胸が震えてくる。 思い描いているんです、運命の森に雨が降るように 僕が50歳になったときは もっとずっと遠い国を歩いていよう シュリーマンのトロイヤの丘を越えて チグリスの黒土の平野を踏みしめ ユーフラテスの蒼い草の舟に乗り アルメニアの練りガラスのゴブレットで ニワトコの赤いワインを飲み干せば 赤いワインの色に胸まで赤く そして僕は花の水車の回る車輪のぐるぐる回る 僕のギターを弾いてるだろう  HCは今時珍しく海外に出たことのない、実にドメスティックな菌類探求者 なのだが、奴の想像力の中ではあらゆる風景や風俗がぐるぐる回っているんだ ろうと思われる。日本の森の中で気持ちがよければ、「カナダに行く必要なん かぜんぜんないよね」ていうのが奴の口癖だったように。  これらの昔のバンドのカセット音源を MP3 に変換できるのか、アナログ→ WAV→MP3 をやってみた。時間はかかるがちゃんとでき、128Khz でオリジナル カセットと同等の音質にできる。将来もっと時間が短縮できれば、あらゆる音 源を CD に焼いておきたいなと思う。まあこうして MD でも現に永久保存になっ てるんだけど、カセットに残ってるものをみんな MD にしてったらけっこうな 出費になってしまうから。CD/MP3 なら 100 曲焼けるからな。
■ 00/11/03(金) 15:45:54 □ 70 年代音楽の評論
 青空文庫に松平維秋という人の 70 年代音楽の評論がアップされており、こ れが非常に面白い。ウェストコーストブームを嫌悪するアメリカ音楽好きとい う人なのだが、彼がここに書いている人々の名前が現在まったく残っていない のがすごい。ニューミュージックマガジンという特殊な雑誌に載っていた記事 だからなのだろうが、音楽はどこへ行くのだということをひたすらに考え考え 抜いて、結果音楽は理屈ではなくてちっともそっちへ行かなかったということ なんだろうか。  驚くのは、これを書いた人の友人であった浜野サトルという人がまさにこの 青空文庫の主宰者で、自身も松平維秋と連名ですばらしい音楽評論を書いてい たロック者だったことなのだった。青空文庫というのはユートピア志向の学生 仕事ではなかったのである。どういう曲折があってそうなったのか、文庫にい つか書かれるのだろうか。
■ 00/11/04(土) 15:31:52 □ P氏のバースデー
 あー楽しかった。ギターを持って行ったのが正解で、俺がギターを持ってい ると見るや2人が家に戻り楽器を取ってくるという急展開。それが揃ってから はジャムセッション大会となった。超久々にセッションして気持ちよかった。 1曲通してコードを知ってる人などおらず3コード大会であったのだが、それ でもそれなりのグルーブが出て楽しかった。エレキも久々に弾いたのだが、ア コースティックでさえもいいブルースソロが弾けて、やっぱり俺はアコースティッ クギターのみ生活5年のおかげでこういうフィンガリングとピッキングの基礎 がこの年にして実に叩き込まれているなあと実感した。しかしあまりに久々に 本気で歌ったせいで、腹筋が痛くなって苦しかった ^_^;。  BR車を借りて行ったのだが、驚いたことにこれが俺の車よりもはるかに速 い。Government に出て坂を登る頃にはこれは速いとはっきり分かってしまっ た。常用の 1000〜2000 回転で非常にピックアップよく強いトルクが出るよう になっており、そのまま高速 3000rpm/100Km までモーターのように途切れな く(シフトショックもまるで出ない)軽く回ってくれる。これがトヨタクオリ ティなのか。驚いた。多分これが 1500 では標準的で、うちのは極端に遅いん だろうなあ。Air Care をパスして燃費もそこそこなんだからうちのもさほど ロスはないはずなのだが、なぜこんなに違うのだろう。屈辱的なりとMにぼや き笑われる。
■ 00/11/06(月) 13:29:26 □ Mの買い物運
 仕事がくるはずなのにこないなあと思っていると萌が泣き出し、延々 45 分 ほど泣かれて二人とも参る。昨日もこうで、8回もミルクをあげておっぱいが 疲れ切ったのだそうだ。そうなるとまた胸の痛みが出てくるらしく、うちは数 ヶ月前のどよ〜んな一家に戻ってしまった。 ----------------------  00:13:萌の世話をはさんでやや遅れたが5時間。高校時代、新聞配達をし てた頃に聴いていたクリエイションを聴く。これを MD に録音してきたのは正 解だった。勤労意欲が湧く(笑)。あと 1300。今夜中に終わらせられるかど うか。しかしこの歌たちを聴くと高校1年の頃がノスタルジックに甦る。朝の 自転車での新聞配達で登った坂道、学校をサボって花見に行ったガリュウ公園 でナンパした看護学校のお姉さんたち。俺の人生があれからこうなって、今は 外国でコンピュータをパチパチやって地道に働いているだなんて、宇宙飛行士 になるのと同じくらいに想像不可だった。  01:41:残 837。やろうと思えば終わるが、さすがに疲れが.....。今はパン タのライブを聴いている。パンタを一度だけ見に行ったあの時、これらのもの すごい名曲たちをやってくれたら俺は失神していたのだが(興奮度でストーン ズを超えていただろう)、なぜかあのときだけは赤いジャケットを着たエンター テイナーだったんだよなあ。残念。 ----------------------  3時に終了、布団にもぐる。夕方から萌が非常にいい子だったので、Mの機 嫌もすっかり直っていた。この頃夜冷えるので、こないだMが買った毛布を俺 が使って寝る。これがもうすごいゴワゴワのポリエステルで、いったいどうい う考えで作ればこんな寝具になるのだという品質なのだが、まああたたければ それでよい。  Mはだいたい買い物運がないというか、完璧なものが見つかるまで根気が 続かずまあええわとなってしまうのか、けっこういろんなハズレ製品を買って いる気の毒な主婦なのだ。日本じゃ低品質のものなどそんなに売ってないから 目立たなかったのだが、カナダに戻ってからは顕著で、包丁はまったく切れな いしボウルは重たすぎて片手で持てないし、組み立て家具はパーツが合わない しベッドは俺の丈には小さすぎるし、掃除機はでかすぎて使いにくいうえに1 年で焼けてしまう(保証で直るけど)。買ってきてからそれらの欠点が判明す るたびにがっくりきていて、まったくかわいそうである。今度からMがなに か買い物をするときには、俺も興味がないものでも気をつけてチェックに加わ ろう。
■ 00/11/07(火) 12:19:13 □ アマチュア革命
 朝MHくんからメールが届いていた。父親になって、気持ちがうれしさで充 実しているという。ああ会いに行きたい彼だ。 ----------------------  夕方、萌に初めてミルク以外の食べ物をあげるという大イベントがあった。 萌は最近薬を飲むのもまったく問題ないのでするすると食べてくれたのだが (といってもスプーン1杯のおかゆ+ミルクだけど)、夜寝る間際にひどい腹 痛を起こしてびびりまくる。まさかそんな劇的な反応があるわけがないので偶 然の腹痛だとしか思えないのだが、おなかが落ち着いてくれるまでは俺もM も蒼白になって Web で関連記事を検索してしまうのであった。ふー。 ----------------------  昔作ったデータ構造を壊したくなくて今までまったく手をつけなかった Nifty 時代のメールも eMemopad に整理し始めた。軽く読みながらやっている と、なんという青臭く恥ずかしい文体なのだと思う。やはりこの頃は人に向かっ て何かを書くということ自体が未経験の領域だったのだ。日記を見ても思うが、 毎年書き物のスタイルが激変している。  あの頃ずっと、「アマチュア革命」というキーワードを考えていたのだと、 メールを読んでいて思い出した。競馬フォーラムで、実際にレース馬に乗って いる調教助手の人が下にも置かぬという扱いを受けているのを見て、これはヘ ンだと思っていたのだ。 >  いまだにぼくの考えも混迷の中なのですが、とにかくプロとアマチュアは > 違う。そして正しいアマチュアとはプロのなりかけなんかではない。これだ > けははっきり言えると思うんです。並び立たなければいけない。競馬場でも > ネットでも。それでぼくは、あれこれ悩みながらアマチュアリズムを確立し > ようと頑張っているというわけです。  なにかのプロとなってオブジェクトのただ中にいるものだけが特権的高みに いるのではなく、人はどこにいてなにをしていたって、伝えたいものがあれば それを伝える価値がある。手段がないだけだ。そしてその手段が、コンピュー タ通信によって出来上がりつつある―――そういう確信が当時あったのだ。そ してそれはそのあと数年で、インターネットによって確立してしまったのであ る。めでたしめでたしである。

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