■ アトランタ最終予選プレイオフ第2戦
From: Tomo Sakata (sprynet.com)
Newsgroups: fj.rec.sports.soccer
Subject: Re: Canada - Australia, Final Olympic Berth
Date: 2 Jun 1996 22:03:28 GMT
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  ■□ サカタ@カナダ天下分け目の大一番です

  アトランタ最終予選プレイオフ第2戦
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 ┃ オーストラリア対カナダ ┃	(June 2, Sydney)
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  今日で全てが終わるさ、今日で全てがむくわれる(はず)。いよいよ決
 戦です。カナダは攻撃型MFを一人抜きディフェンシブMFを入れました。
 それでいいのかカナダ監督。引き分けじゃ勝てないんだよ(豪がアウェイ
 で2点取ったので、0-0, 1-1 ではカナダの負けとなる)。日本には
 Nishino というコーチがいて先日似たようなことをして負けたのよ。カナ
 ダはこないだ2点取ってくれたラッキーボーイ Xausa がFWに入りました。
 なんとなく「格上げ」という言葉が頭に浮かびます。

  カナダチームは豪へ飛ぶにあたり、「時差ボケの専門家」にアドバイス
 をうけました。いわく、現地に着いたらすぐに寝ないで、町を観光するな
 どして時間に体を慣らし、その後昼寝を1時間半取り、起きて軽く練習を
 し、疲れたところで強制的に寝る───というもの。そのとおりにしたら
 しいんですが、なんだか生真面目だなあ。だいたい「時差ボケの専門家」
 というのはなんなのでしょうか。

  豪はチーム中9人がA代表の経験があるとのこと。対するカナダはたっ
 た一人。「豪にはいいリーグがあるし、欧州でプレイしてる選手も多い。
 そこがカナダと違うのだ」とアナウンサーは言っています。数年前のWC
 予選でも、カナダはオーストラリアに煮え湯を飲まされている(その後豪
 はアルゼンチンに負けて出場を逸したけれど)。因縁の対決、オーストラ
 リアは日本にとっての韓国みたいな存在なんでしょうか。

 「それでもゲームは 11対 11、私は依然期待してますよ」と、スコットラ
 ンド人の解説おじさん。その通り。試合開始、ありゃ、いきなり序盤の 10
 分過ぎから中継開始です。

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  あ、カナダのアウェイのユニフォームは濃紺でなかなかかっこいい。う
 わ、すごいスタジアムだなこりゃ、客も大入りです。豪ではサッカーの人
 気が高いんですね。今日も激しいぶつかり合いのゲームになっていますが、
 カナダボールになるたびにすごいブーイングがあがります。最初のチャン
 ス、カナダのFK。キーパーの飛び出しにくいなかなかいいところにいた
 味方を狙いましたが、敵味方5人が入り乱れてホイッスル。

  15m: 豪のすごいミドルシュート! キーパーがはじいたところをさらに
 詰めてシュート、キーパーはなんとか弾きます。ぴゅー。うわ、コーナー
 もゴールマウスを厳しく狙ってくる。DFが必死で跳ね返し、それを拾っ
 た豪がきれいなパスまわしでDFのあいだを縫い、右に流れたボールを走
 り込んだ選手がシュート! 入った! ......うう、前回よりさらに調子が
 よさそうです、この人たち (;_;)、1―0。

  今点を取った Foxe 選手は 18 歳で Ajax 所属だそうです。こっちはサ
 イモンフレージャー大学学生とかだもん、かなわないよなあ(ため息)。
 カナダもボールへの寄せの早さで必死に押し返そうとしますが、ほんとに
 豪はつねに元気がいい。プレスが厳しく、カナダはボールをキープできま
 せん。しかもカナダのぬるい攻撃に対して豪のカウンター攻撃が鋭い。す
 ごい速さで組織だって押し寄せ(───センターの選手がボールを持つと
 両サイドの選手がものすごい勢いで上り、どこからでも攻められる体勢で
 波のごとく押し寄せる───)、あわてたカナダDFが必要もないのにゴー
 ルラインに蹴りだしてコーナーを与えてしまったりしています。これはカ
 ナダ、かなりうろたえている。FKをもらったヒキダがゆっくり時間をとっ
 てチームを立て直そうと試みます。そう、すこしゲームを落ち着かせた方
 がいい。

  豪はもう完全に格上のゲーム運びをしてるんですが、ときおりPKエリ
 アそばで前回と同じように判断が遅れてスキが生まれることがあります。
 特に左サイド。このチームから点を取るには、やはり前回のように Xausa
 が発作的にそこを突くしかない。あんなラッキーなチャンスが生まれるか
 どうか、その確率は低いのですが。今日は Xausa 君、ほとんどボールにさ
 わってもいない様子。

  30m: おー、豪が自陣ゴール前からパスできれいにボールを運んで、シュー
 トまで結び付けます、がキーパーがキャッチ。うまいなあオージー、感心
 してしまう。カナダの選手は個人の反射神経とか瞬間的な判断ではいいと
 ころがあり、自陣ゴール付近からボールを遠ざけることだけは成功してる
 んですが、チームとしてパスで組み立ててシュートにもっていくなんて、
 もう6試合も見ているとあまり期待もできないのです (^_^;)。

  40m: 序盤の豪圧倒状態はなんとか脱してきた様子。相変わらず豪がボー
 ルを支配しカナダは全く攻撃を組み立てられないものの、カナダゴール前
 での危険なシーンが減ってきました。カナダのDF最終ラインがよくやっ
 ていると解説が言っています。主将ヒキダの統率がよいのか───どわーっ
 豪が左を切り崩しながらセンタリング風シュート、キーパーが空中でファ
 ンブルし、宙に浮いたボールがゴールマウスに! ゴールをカバーしていた
 ヒキダがヘッドでクリア! ふー、ナイスカバーリング・ヒキダ、これが入っ
 てたらえらいこっちゃであった。

  前半終了。ふー。1点で済んだのは恩の字ではあるものの、前半まとも
 なシュートは1本も打てずに終わってしまいました。残り 45 分で2点取
 らないと負けとなります。解説は、「コーチのボブは非常にポジティブな
 奴だから、今頃『OK、2点取るぞ』と檄を飛ばしてるだろう」と言って
 ますが、もっと具体的になにか試みないと突破口がないように思えます。
 中盤が苦しいのは分かるけれど、ロングボールを使わずにボールを運んで
 FKでも取らないと、攻撃の糸口が生まれないよ。......しかしじっさい、
 前回はカナダにもチャンスが少しはあったのが、この試合では皆無です。
 オーストラリアがよすぎるのです。

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  後半。豪のゲームメーカーはやはり前回点を取ったユーゴの名前を持つ
 男・Lozanovski ですね。非常に広い範囲を精力的に動いてチャンスを作っ
 ています。中盤でボールを左右に振り分けて、それを自分でまたもらおう
 と指をさし声を上げながら走っています。いい選手だなあ。

  カナダの超ロングスローイン(なんで手で投げてあんなに遠くまでボー
 ルが飛ぶのだ)をゴール前のDFがクリア、それを後方から上がったカナ
 ダDFがシュート! よしよし、全く枠には行かなかったものの (笑)、カ
 ナダが点を取れるとしたらこのパターンしかない。とにかくゴールの方角
 が縁起がいいのでひたすら強いボールを打ってほしいもの。

  10m: ああ! 鋭いカウンターをくらって豪に突破され、PKエリア数セ
 ンチ前でカナダDFが後ろからタックル、FKを与えてしまいました。こ
 れはやばい。うわ、なんでそんなに壁を下げさせるのだレフェリー、それ
 じゃ壁として役に立たないよ。横に流して Lozanovski がシュート───
 入った〜! 2―0。解説のおじさんはオフサイドポジションに豪の選手が
 一人いたと抗議していますが、シュートそのものは完璧、止めようがない
 ものでした。あれは壁を下げすぎだなあ、横に流されたボールにカナダD
 Fは必死に対応したのですが、あまりに距離があったため Lozanovski は
 余裕でスペースを狙って打てたという感じ。...... まあこれでも2点取ら
 なければ負けという状況が変わったわけではないので、あまり気にせずと
 にかく点を取ってPK戦に持ち込んでほしいところです。

  20m: わわわ! カナダMFが手を使ったラフなからみで豪選手と共に倒
 れ、豪チームが怒りホッケーのごとき乱闘になってしまいました。やめろ
 やめろー。たけり狂って肩を突き飛ばし合うオージーとカナックス、両者
 イエロー×1。その直後、豪の選手が報復キーパーチャージ! でー、そう
 いうのはレッドなんじゃないんですかー。しかしイエローも出ません。レ
 フェリー陣はなぜか全員アラブ圏からだったのですが、試合を通してあま
 り冴えたレフェリングをしていないと感じました。しかし当たりが激しい
 だけじゃなくて、気性もえらい激しい両チームです。

  ああ! はじめてのチャンス for カナダ! 1対1でエース Thompson が
 PKボックスのライン付近からシュート! あー、狙い過ぎて枠をはずし
 た〜。思い切り打ってくれよー、若いんだからー、もっと力一杯蹴ってく
 れ給えー。───数分後、もうすこしでシュートというところまでカナダ
 がきれいなパスワークで攻め入ります。おお、カナダにチャンスがぽつぽ
 つ出てきました。豪はアツクなって組織が崩れてきたのかもしれない。

  30m: しかしカナダはそこに付け入られるほどうまいチームではなく (笑)、
 豪はかーっとした状態もどうやら過ぎて冷静さを取り戻してしまった様子。
 豪右からの鋭いセンタリングにFWが走り込み、ぎりぎり届かずアウト。
 中盤から後ろを固め気味にしたのか豪の攻撃は単発になってきたものの、
 依然カナダよりはるかに鋭いものがあります。

  カナダはDFを抜いてMFを入れたようです。攻めなければもうどうに
 もならない。スタジアムを埋めたファンは勝利を確信してウェービングを
 はじめました。二度目の奇跡は、カナダに起こらず終わるのでしょうか。

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  残り 10 分、Lozanovski が左に駆け込みボールを受け完璧なマイナスの
 折り返し、それを受け取った Viduka がDFを背にしてフリー! ああ誰か
 彼を止めて! しかし Viduka は躊躇なく体を 180 度反転させて完璧なシュー
 ト───ゴール! ───美しい! 「これまでだ! すばらしい! 豪は勝
 利を受けるにふさわしい!」───解説がそう叫びました。こんなに美しい
 プレイがここダウンアンダーで見られるとは。......3―0。小さな闘将
 ヒキダもこれでとうとう、がくりと顔をうつむけてしまいました。

  失意のカナダはもうボールに反応できません。残り5分、コーナーから
 ヘッドで1点追加。数分後、ハナから一人で決めるつもりで豪キャプテン
 がハーフラインからドリブルで進み、もうだめだ状態のDFをかわしてシュー
 ト、ゴール。私はもう、見ているのがつらい。

  試合終了。5―0。...... 強い。抱き合い喜びを分かち合う豪イレブン。
 会場を走り熱狂した観衆に応えます。おめでとう、オーストラリア。

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  強い。私は、自分が今年見た日本・韓国・サウジ・メキシコ U-23 より
 も、この豪 U-23 チームは強いと思います。じっさいサウジはオーストラ
 リアと本選で当たるわけですが、組織力ではるかに上回るこのチームには
 苦しむことでしょう(O-23 は使うのかな? どこの国が O-23 を使い、
 どこが使わないかという情報はもう出まわってるんでしょうか)。

  結果はつらいものになりましたが、圧倒されつつも1試合を引き分けに
 持ち込み、この試合も後半あのブリリアントな Lozanovski-Viduka のライ
 ンで3点目を取られるまではゲームを持ちこたえさせたのですから、カナ
 ダも実力以上に健闘したといえましょう。じっさい、見ていてうまいと思
 う選手が一人もいないチームで、全員の真摯な走りと努力だけであと一歩
 のところまで来てみせたのですから、立派なものなのです。

  よくやったよ君たちは。カナダじゃ放送は夜中だったし誰も知らないだ
 ろうけど、俺は見ていたよ。バンクーバーの町で彼らに会ったら、そう言っ
 てあげたいと私は思うのでした。リチャードヒキダ君は日本語が少し分か
 るのでしょうか。無理かな。

 オーストラリア 5―0 カナダ
  Shots: Australia 10, Canada 2
  Saves: Australia 2, Canada 5
  Fouls: Australia 7, Canada 12 (2 Hand Balls)
  Corner Kick: Australia 6, Canada 1
  Offside: Australia 0, Canada 0

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  というわけで、私はほぼ確実にオリンピックのサッカーを見ることが出
 来なくなってしまいました。いやそんな、負けたチームのみんなの悔しさ
 に比べたら私のこの悲しみなんてとるに足らないものなのですが、見たい
 なあ......というところで、fj サッカーカナダ取材班のレポートを終わり
 ます。お疲れさまでしたみなさん。
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 │サカタ│
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...Tomohisa Sakata (Vancouver, CA)