恐怖のボクサー犬
Thanks To: Gaku san, Hariguchi san
Newsgroups: fj.rec.motorcycles
From: Tomo Sakata
Subject: Re: Dog!!! (Re: Ujigawa Rhein(Line?))
Date: Mon, 27 Jan 1997 12:52:02 GMT
■□ カナダのサカタです
/~~ In <5cfu33$7ve@kuee2.kuee.kyoto-u.ac.jp>, GAKU Takemura san wrote:
> がくです。
>
> hari-ndk@mbox.kyoto-inet.or.jpさんは書きました。
>> 『ガゥガゥガゥガゥ!!』
>> セントバーナドがこちらに向かって突進して来るではありませんか!!
:
> 4, 5 匹の犬に取り囲まれたのです。
>
> 吠えながら襲ってきました。カーブでしたので原付の走るスピードは遅く、犬
> の開いた口が私の足首をかみそうになる感触を感じました。さいわい、かむ直
> 前の状態までしかいきませんでしたけど。私は 数m 走って転倒し、必死で原
> 付を起こして逃げました。
ふふ......がくさんも針さんも大変な目に :-)。私も犬にえらい目に遭
わされたことがあります。ぜんぜんバイクに関係ない話なんですけど。
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私は東京在住時、とある廃墟内を軽自動車に乗って駆け巡る警備員をし
ていたんですが、立入禁止の施設内に常習的に忍び込む者がいて悩まされ
ていました。それは足跡が人間の手ほどもあるボクサー犬と、その飼い主
です。無人の施設であることをいいことに、犬を中で放して遊ばせるので
す。普通の犬を遊ばせるだけならうるさいことはいわずただ退去させるだ
けなのですが、全くそれが普通の犬ではないのでした。私の同僚と警備犬
が巡回中、その犬に追いかけられ命からがら逃げるという事件があったの
です。人犬とも怪我はなかったものの、私たちは憤慨していたのでした。
ある日サカタが巡回車ダイハツに乗ってフェンスそばを巡回していると、
斜め前方から恐ろしい形相でこちらに向かって走ってくる巨大な犬を発見
しました。うわ出たボクサー犬! と車を止めると、犬はそのまま車に飛び
掛かってきました。閉まったウィンドウを爪でかきむしり、それが開かな
いと分かると怒り狂ってドアミラーに食いつきます。まさに狂犬。そいつ
はうがうがと首を振るい、ついにミラーをかじり取ってしまいました。
おのれバカ犬め。脅かしてやろうとクラクションを鳴らし、一瞬クラッ
チをつないで車を動かします。それにも全くひるまず、今度は車のホイー
ルハウス部の泥除けゴムに食らいつきました。ぐいぐいと怪力で引っ張り
まくる犬。うわわやめろお。
そのとき少し離れたところに、犬を呼ぶ人影。狂犬はさっと攻撃を中止
して、その影に走り寄ります。あいつが飼い主か、おのれ! ──車を発進
して追いかけましたが一足遅く、犬と飼い主はフェンスの隙間をくぐって
逃げていきました。
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許せんといきり立ったサカタは、反対側にあった施設の出口から大急ぎ
で外に出、敷地の外周をぐるっと回ってそのフェンスの真外へ向かいまし
た。すでに人犬の姿はなし。しかし時間的に考えて、そのブロックの住宅
地のどこかに絶対いる。私は近辺で遊んでいる子供を相手に、聞き込み調
査を開始しました。
あーもしもし僕ちゃん、大きな犬を見なかったかい? 見てない、そう、
どうもありがと。───そして何人めかに聞いた時、「○○さんちの犬じゃ
ないの」と言ってくれる賢い子に出会いました。「あそこの家に、大きく
て怖い犬がいるよ」。それだ! どこだか教えてくれないかな。少年は私を
案内してくれました。
見ると鉄格子のはまった凶悪な雰囲気の犬用畜舎を持つ家。犬はいませ
ん。呼び鈴を押しても、人もいず。......玄関回りを見ると、「日本警察
犬連盟会員」「猛犬注意」などのサインがべたべたと貼ってあります。俺
が追ってくるのに気がついて、別の場所で時間をつぶしてるのだろうか。
それとも犬違い? 待つしかないか。
....しかしもしここで待っていて、まさにあの犬が帰ってきたら、俺はボ
コボコにやられてしまうではないか。それはまままずい ^_^;)。......よ
し。私は住所と改札の名前をメモに取り、警備事務所に戻りました。
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そして電話帳で電話番号を調べ、頃合を見計らって電話をしたのです。
「ボクサーを飼ってらっしゃる○○さんですか?」
「はいそうですが」
「さきほど車を壊された者ですが」
「......」
「もうすでにお宅の住所と氏名はこちらの手元にありますから、これから警
察と保健所に連絡しますので。では───。」
「ちょちょちょっと待ってくださいよ、それだけは勘弁してください!」
───やはりこいつだったか、ばかめ :-)。
「一度ならず二度までもこちらの警備員を襲ってくれましたね、どういうつ
もりなんですか」
「......」
「こちらの者が怪我をしたらどうするつもりなんですか?」
「......なんのことだかよく分からないんですがねえ......うちの犬は警察
犬用訓練コンテストでいつも上位を取る、優秀な犬なんですよ。そんな、
人を襲うなんて......」
「優秀なのは人を攻撃することでしょ、分かってますよそんなの、現に襲わ
れたんだから。そうやってとぼけるなら議論の余地はないですね。犬を保健
所に渡し、警察に出頭する支度をしてお待ちください。では」
「───ちょちょちょっと待ってくださいよ、それだけは勘弁してください!」
という、どうにも呆れた飼い主だったのでした。そんなの話す前から分
かっていたけれど :-)。
ともあれ、今後その犬が放し飼いされているところを一度でも見かけた
らこちらは即警察に通報するということと、壊された車の全額弁償を約束
させて一見落着(あとは会社と保険会社が処理)。そしてさいわいそれ以
降、二度とその犬を施設内でみかけることはなかったのです。めでたしめ
でたし。
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