Tue, 18 Nov 1997

【ACL】鹿島アントラーズ '97 韓国遠征随行記

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To: サッカーML
Subject: Re: ANTLERS vs. HYUNDAI
From: Tomohisa Sakata
Date: Tue, 18 Nov 1997

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  ■□ サカタ@長野です。中山〜〜っ! 城〜〜っ! 岡野〜〜っ! 中田〜〜っ! 岡田監督〜〜っ (泣く)

> 【ACL】鹿島アントラーズvs.蔚山現代

 私はなんとひょんなことから通訳の仕事を頼まれて、アントラーズ一行に随行しこの日ウルサンに行ってきました。人生最終的にはスケジュールが空いている者が勝つ。この試合非常に面白かったですよね、お互いの代表同士の試合にも似た味わいがあって。

 私はだいたいスタッフと一緒に行動していたのですが、日本に帰ったらこのMLで (あ) さんに報告してさしあげようと思って、選手の様子などをじーっと観察しておりました。

●蔚山現代アバウト

 この試合は国際試合なので、AFCからマッチ・コミッショナーが派遣され正式な試合前ミーティングがあったのですが、鹿島側が監督・スタッフ総出だったのに対し、ヒュンダイはスタッフ3人しか出てこなかったのです。まあそれでも別にいいんですけど、「俺たちはどうしても勝ちたい。勝ちたいよ」と断言する団長さんをはじめ気合いのこもった鹿島に対し、ヒュンダイはどうも意気込みが弱そう。用意すべき書類も揃ってなかったり。

 ミーティングの間選手たちはスタジアムで練習をしてたのですが、ここでもゴールネットが張ってないとかライトを使わせてくれないとかゴタゴタがあったようで、ホストとしての段取りがなってないよと鹿島のスタッフは愚痴をこぼしていました。

 ホテル内ではなんと言っても目立つのがかっこいいジョルジーニョでしたが、どの選手もみな体育会の合宿に来てる大学生という感じでした。特に夕食後買い食いをしようとウロウロする真中と増田がそれっぽかった (笑)。

●韓国のお国柄がだいたいこうなのか?

 試合当日スタジアムについてみると、まず昨日交換したメンバー表から4人もヒュンダイのメンバーが変わっていることが判明。コミッショナーに抗議する鹿島。が、コミッショナーには前夜のうちに変更を伝えてあったとのことで問題なしと見なされました。「俺たちは昨日のうちにメンバー表を渡してあるんだ、フェアじゃない」と怒る熱血鹿島スタッフ。

 ウォームアップをしに選手たちがピッチに出ると、「かしーまアントラズどどどんどん」と声が上がります。わわ! インファイトが来てるのだとびっくり、選手たちも明らかにうれしそう。韓国側の通訳の方もびっくりしてました。「韓国のファンが鹿島に行くなんてありえないですよ! なんという熱意なんでしょう」(※)。

(※)ちなみに親方現代自動車から派遣されてきたというこの方は、かわいくて親切で日本語まで完璧で、韓国のおでんを私におごってくれるというめちゃめちゃすばらしい女の子でありました :-)。

 選手がピッチから帰ってくると、思いもよらぬ問題が発覚します。「おいおい、グラウンドにうんこが落ちてるぞ」。―― なに〜 \(^o^;;)/?! 大量の犬糞らしきものが鹿島サイドに落ちてるというのです。これがアウェイチームへのいやがらせか。そんなこたないだろうけど、ともかく掃除してくれとヒュンダイに頼み込むのですが、わかったわかったといいつつ誰も掃除に行きません。このままでは試合が始まってしまうので、結局スタッフと二人で私が軍手をはめてうんこ拾いに駆け込みました。試合前コーナー付近にかがんで掃除をしてたのは私でした、こやまさん。しかしどういうグラウンド管理をしてるのだろう、おそるべし現代。

●ゲームは楽しく

 試合が始まるとすばらしいスピードで鹿島サイドに攻め込んでくるヒュンダイ。おお、気持ちのいいチームだ。鹿島がスピードに振り回されている間決定的なシュートが何本か打たれますが、さいわいマウスには飛ばず。そうしているあいだに鹿島がペースを握り返し、あとはこやまさんがおっしゃる通りの展開でした。やっぱり鹿島は強いなあ。

 0−2でスタジアムが静まりかえった頃相手GKが退場。DFがキーパーに入るのを見、ここで決めてしまえと一気に相手陣内に鹿島が押し寄せたとき、絵に描いたような美しいカウンター一発! 気持ちいー! あれを決めるのはさすがは韓国ですね。ものすごい大歓声も気持ちよく、思い切り拍手してしまった (笑)。そこから後は怠らずこつこつと点を積み重ねる、鹿島の落ち着いた勝利でした。熊谷はすばらしい。本田が帰ってきたら彼は出場できないのかな? だったら残念ですね。

 それにしてもずっと代表の生死をかけた試合ばかり見ていたので、こういう試合は楽しかった。大差で負けていてもチャンスにはおおおおおと応援する韓国スタンドのムードが心地よく、また負けてもおおらかな地元ファンの雰囲気にはなごむものがありました :-)。

●試合後の無政府状態

 試合終了後、控え室のエリアに韓国の子供たちがなだれ込んできました。お目当てはどうも、どちらかというと鹿島の選手たち。快勝だったからかな。サインをもらおうと子供たちがぎゃーぎゃー騒ぎ、アナーキーな状態になりました。私は面白いので笑って見てましたが、鹿島のスタッフは「どういうセキュリティ体制なんだ!」と怒ってました。私の観察では、竹ぼうきを持って子供たちを追いまわす老人警備員1名のみというセキュリティ体制でした。

 私はヒュンダイの監督を掴まえてプレス・インタビューを始めるべく動いたのですが、なんと監督が出てこないのです。そんな。レギュレーションに書いてあるんだから、出てくれないと困りますよ。「いやいや、監督はただもう怒っている。喋りたくないと言っている。キャンセルしてくれ」。そんなー。......結局、鹿島だけが日本から来ていたプレスに対して談話を発表しました。まいったなー。「これじゃ鹿島ホームの第2戦も(どうせ勝てない、と)キャンセルされかねんぞ」と鹿島側は恐れていました。

 観客は主催者発表で 13000 人、随行したJリーグ代表推定でその半分というところでした。鹿島にはもっと入るだろうな。ホームでヒュンダイが鹿島を破るのは無理だろうけど、鹿島のファンを喜ばせるためにもヒュンダイはもう一度鍛え直して来日してほしいですね。

●ナイトー1番人気

 そんなこんなでバスに乗り込むと、周り中を子供たちが囲んでいます。バスの窓をバンバン叩いてサインを求める子供たち、すごいパワーだ。内藤選手の窓には、熱烈な女子中学生がしがみついて半泣きになっています。すげえな内藤と冷やかす声の飛ぶ車内。さらに翌朝この子たちはホテルまで見送りに来ていたのです。おそるべし色男ナイトー。2番人気は柳沢のようで、韓国高校チームかなにかのユニフォームをプレゼントにもらってどうしようこれと困っていました。

●そして凱旋帰国

 帰国日、バスの車内で試合のビデオが流されていました。熊谷のシュート時には車内に歓声が上がります。「こりゃワールドクラスだな」「デルピエーロだよな」。なんか、ほんとに体育会の合宿帰りというほのぼのムード。増田はバスの運転が荒いと大声で抗議、クラスの不良のごとき小僧でありました (笑)。

 遠征中スポーツ新聞のファックスが回覧され、チーム全体がイラン戦を控えた日本代表の様子に注目していましたね。当然か、当たり前か。明日水曜ナビスコ杯があるため、鹿島は韓国遠征後も全く休みなしで練習だったようです。予定を確認してため息をつく者多し。だけどすべてを勝つ力のある彼らは、すべてに立ち向かっていくのでしょうね。

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 3日間アントラーズと行動を共にして、プロ・サッカーチームというのは移動ばかりでしんどいけれど、燃える仕事だなあと思いました。スタッフは万全を尽くすべく走り回り、選手はフィールドで全力を尽くす。ジーコが成田のチェックインなんかにつきあっていたり、カルロス監督が飯抜きでミーティングに参加したり、サブの選手たちもベンチ裏で最後まで頑張っている。そして試合が終わるとよおしよおしと手を取り合って、ヨロコビ帰って行くのです(負けたらまた別なのかもしれないけど)。そのものごとの躍動感と一体感が心地よい。テンポラリーな部外者ゆえその中に加われず眺めているだけなのが残念でありましたが、国際試合の一部始終を見ることができてとてもとてもラッキーでした :-)。