中田英寿へのメッセージ

http://nakata.net/jp/fanmail/mail20010417/mail0016.htm
差出人:サカタ@カナダ
タイトル:誰もがマインドゲームをプレイしている

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はじめまして中田さん。カナダ・バンクーバーに住むサカタと申しま
す。コンフェデレーションカップでカナダ代表が日本と対戦すること
になり、楽しみにしています。

先日のフランス戦のテープが友人から届き、先ほど見終わりました。
これまで数週間、ネットであらゆる評論およびファンの激論を読んで
いたのでかなりの覚悟をしていたのですが、実際に自分の目で見てみ
るとそんなにびっくりするようなゲームでもありませんでしたね。ど
この強豪とやっても、相手の調子がよく日本の状態が悪ければああい
う感じのゲームになってしまうことはあるわけで、結果5点取られた
からといってヒステリックに絶望したり憤慨することはないと思いま
した。通用する部分もあったし、まるで駄目な部分もあった。これか
ら一所懸命各自とチームがまたみずからを鍛えればよいのでしょう。

中田さんはフランス戦後、『立ち上がりに得点を許し、緊張したまま
試合が進んでしまい、そうなるともちろんミスが多くなる。ミスが多
くなると、ミスすること自体を怖がって、さらに体が硬くなる。さら
にフランスは強い、との認識があるから、点差がつくとあきらめてし
まう選手が出てくることは容易に想像が出来た』と状況を冷静に捉え
てましたよね(「3/24 in Paris!!」)。今まで読んだどの評論より
もこの中田分析が、僕が見ての感想に近いものでした。

日本の多くの選手が守備時に相手の動きについていけなかったのは、
ピッチの悪さに加えて、フランスの巧さに脅えた硬さから、常に少し
ずつだけ力のバランスを失っていたのではないかと感じました。つま
り、フランスの格に日本が圧倒されたというのが、僕が受けた全体的
な印象です。相手への対応に追われる守備時と異なり、攻撃時には何
人かの選手が最後まであきらめずしっかりプレーできていたことから
もそう感じます。攻撃時には、相手が誰であれ技術とアイデアの勝負
となるわけで、その部分は決して、まるきり通用しなかったわけでは
ない。

格の違いに圧倒されないためには、どうしたらいいのでしょう。トル
シエ監督がフランス戦を終え今どう考えているか、記者会見を読んで
も練習レポートを見ても今ひとつ分からないのですが(守備力をどう
上げるか彼は迷っているようにも感じられる)、僕はトルシエ監督が
チームに加えるどんな修正よりも、中田さんの落ち着いた声こそが
チームを救うのではないかと想像します。

『言葉でみんなを引っ張るようなタイプではない』と中田さんがみず
からを考えているのは分かっていますが、チームがスペイン戦に向か
うそのとき、あるいは試合中消極性の泥沼にチームがまた陥ってしま
いそうなそのときに、中田さんが大丈夫、いけるぜと皆に声をかけて
くれたらいいなと思います。格の違いを乗り越えられるのは、いける
ぜとみずからを信じてトライする勇気だけでしょう。中田さんのプ
レーからはそれがいつもまぶしいほどにほとばしっています。僕は日
本代表のすべてのメンバーから、それを見たいのです。

【BGM:ジョンレノンの「マインドゲーム」】(サカタ@カナダ:翻訳業)


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