アメイジング・タイランド
■ 98/01/23(金) 07:36:00	 □ バーストシティ・バンコック
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  一睡もできなかった (=_=)。旅行前にたっぷり眠れた経験は皆無なのだが、
 今回もきつい旅になるのは確定だ。秋葉原で降りて道草をしようと思ったが、
 必要なビデオバッテリーだけなんとか手に入れてそれでよしとしよう。ふああ。

              ==== ◆ ========== ◆ ========== ◆ =====

  6:05pm 現在タイエア機上。タイエアのスチュワーデスは評判通り美しく感
 じがいい。ご飯が楽しみ。だが飛行機は 30 分ほど遅れている。

  それにしても疲れた。新幹線、京成、飛行機とすきさえあれば睡眠をとって
 いるが、やはり移動中に疲れを取るのは不可能だ。機内でアップルジュースを
 ふるまわれて疲れがやや癒される。

  秋葉原で電池だけは首尾よくゲットしたが、歩いているともうフラフラで、
 それ以上なにかを探す気にはなれなかった。モバイルものは意外なほど値崩れ
 していない。一番安い PPP なしのモバギアで 39800。カシオペア初期型で
 45000。1-2万だったという日没情報はやはり、正月特売の、朝から並んで買
 うような特殊な物件だったのだろうなあ。まあ昔からのこの Massif があれば
 旅行記は書けるのでいいのだけれど。

  もうかれこれ6時間飛んでいるが、スクリーンに映る地図は一向にインドシ
 ナ半島にならない。アジアは実に広いのだと改めて驚いた。さいわい6時間の
 うち半分以上は寝て過ごせて、本もあるので退屈はしていない。しかし、楽し
 みにしていた夕食はぜんぜんだめであった。タイ料理が出るのかと思ったのに、
 無国籍ヤキソバであった(泣)。

 10:22分,飛行機が下降に入った。ようやく着くのか。

    ----------------------
  バンコックは想像以上に暑く、エキサイティングな大都会だった。32-3
 度だろうが、飛行機から出た瞬間体が燃え上がるような熱を感じてびっくりし
 た。迎えにきてくれたイトコ奥さんPとお父さんお母さんに送られて空港から
 ホテルに着くまでのあいだ、東京とバンクーバーを足してそこに激しくアジア
 の興奮をふりかけたような町を見て興奮していた。夜中になってもちっこいバ
 イクで飛ばしている若者たち。自分がここで育ちバイクを持っていたなら、す
 ごい青春だったろうなあ。昔見た映画「バーストシティ」を思い出す。

  しかし道に沿って無数にそびえ立つ巨大な看板がすべて日本企業なのには驚
 いた。韓国ではそんなことなかったのだが、やはり日本はアジアの大巨人なの
 だ。誇らしく感じないこともないが、サクシュ・サクシュという声が聞こえて
 くる。こないだニュースで言っていた労働争議も、じつは日本とタイの合弁企
 業だったそうだし(日本のニュースでは言ってなかったのではないか?)。全
 く同じケースで争議のリーダーを処刑してしまった中国&日本企業の嫌な話を
 思い出す。

  こんな夜遅くに車で送ってもらうことの感謝をイトコ奥さんPの両親にどう
 伝えたらいいのか分からんと思ってるうちに、1時間ほどでホテルに到着。と
 もかく両手を合わせてカックンクラップ・カックンクラップと連呼する。Mは
 待ち切れないのかロビーで俺を待っていた。大好きなトロピカルの地で、超上
 機嫌であった。


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■ 98/01/24(土) 07:36:00	 □ 燃えるバンコック
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  土曜。腹がえらく減って目が覚め、ホテルのカフェに行く。ベーコンの朝食
 など頼むからわるいのかもしれんが、うまくなかった。タイはなんでもおいし
 いのかと思っていたが、タイエアもそうだったしタイの飯を頼まないとだめな
 んだろうな。

  花曇りでそれほど暑くない町を歩く。屋台がガンガン出てるのをはじめ見る
 ものなんでもおもしろいが、ビジーな道ぞいの町を歩いたので空気がわるく音
 がすごく、おまけに暑くて疲れてくる。

  バイクがものすごく多いが、ほとんどすべてが2スト単気筒 200cc 以下だ。
 少ない投資でハイパワー、現地生産風モデルばかりだ。すごい音とスピードで
 3人くらい乗って走り回っている。4人乗りまでは目撃したが、5人乗りを見
 ても驚かないな、こうなると(笑)。ピックアップ・トラックの荷台に人がご
 ろごろ乗っていたりするのもいるし、誰もかれも事故を起こしたら即死体制で
 走ってるわけだが、生きてるんだから事故らないんだろうなあ。

  タイの物価に大ハッピーのMはずっと買い物に燃えているらしく、俺を引っ
 張ってあちこちモールを覗いてまわる。やっぱりものが安いわ。バンコックの
 店はどこを覗いても過剰に店員が多く、日本だったら店員が 1/3 でおなじ仕
 事を完璧にこなしてしまうと思うほど店員が余っている。それなのにこうも物
 価が安いというのはすごい。超低賃金なのかもしれんが、市内の一流店だから
 国民水準よりははるかにいいだろうし。日本は物価が高い分失業者が少ないの
 だと思っていたが、物価半分以下で3倍の雇用を養っていける国があるのだ。
 うーむ。

  俺はパジャマ用にシャツを一枚と、荷物のキャリアを買い、Mはキャスター
 のついた旅行ラゲッジバッグを買った。これで荷物運びは一生楽勝だと二人で
 興奮する。彼女は仕事も含めてこの旅行をめっちゃ楽しんでいるようだ。よかっ
 たよかった。

  仕事はもともと目的のはっきりしない調査だったとのことでイトコ奥さんP
 と悩んだそうだが、できることをやるしかないと割り切って二人できっちりこ
 なしたらしい。イトコ奥さんPも久々の国際協力関係の仕事で張り切っていた
 のに体調が悪かったとかで心配してたのだが無事。

  そしてMは今日中にレポートをあげないとならぬし、俺も非常に疲れを感じ
 たのでいったん戻る。なんかすごく疲れるな、いきなり温度が違い過ぎるせい
 なのか。

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  夜、イトコ奥さんP両親と会食。タイ風中華料理屋で、蟹がうまかった。元
 タイ軍将軍だというのが信じられないほど温厚なお父さんは軍属時代にアメリ
 カに1年住んだことがあるそうで、英語も分かるしにこやかでやさしい人だっ
 たが、お母さんは言葉が分からないせいもあろうが全然コミュニケートできな
 かった。外国人があまり好きじゃないのかもしれない。気に入られたいのでひ
 たすら覚えたタイ語を連発する、「おいしい」「からい」「ありがとう」。
 ここ5年で最高に辛いピクルスを食べた、痙攣した。

  ホテルに帰り、風呂に入りながら村上龍「だいじょうぶマイフレンド」を読
 む。☆☆1/2。高橋源一郎の解説ほどには面白くなかったが、こうしてアジア
 の大都会にいるときにいつもの村上エログロが出てきたらかなり気分が滅入っ
 たと思うので(笑)、ファンタジーでよかった。じっさいホテルのロビーには
 娼婦がたくさんいるのだ。未成年のきれいな女の子が日本やアメリカのおじさ
 んと話しているのを見ると、ちょっと妙な気分がする。女の子も楽しそうにやっ
 てるんだけど。

  観察していたMによると、客が娼婦を連れ込む際には、ホテルのフロントが
 娼婦の ID をチェックするのだそうだ。客はばつがわるいという顔をするらし
 いが、それは安全のためよいシステムだと俺は思う。

  しかし本を早く読み過ぎだ、10冊も持って来たのにすぐになくなってしま
 う。


+++
■ 98/01/25(日) 07:36:00	 □ タイの王宮めぐり
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  昨日もそうだったが、朝起きるとかなり体調がわるい。エアコンで空気が渇
 いているのか、風邪をひきかけているのか、分からない。しばらくするとOK
 になるのだが。念のために整腸薬を呑んでおく。今日は軽く市内観光をして、
 夜プーケットに入るのだ。ハードだなあ。

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  昼にイトコ奥さんPと食事をし別れ王宮に行ったのだが、名高いタクシーの
 極限F1サーカス運転でやや車酔いしてしまい、着いてみると暑さがたまらな
 くなってきた。立っているだけで息が苦しくなってきてしまう。典型的タイの
 暑さ負け。30数度なのでたいしたことはないのだが、長野では室内でも常に
 10度前後で震えていたので、気づかない間に真の寒冷地人間になっていたら
 しい。

  それでもパレス(というよりも併設のお寺群)のすごさはたとえようもない
 もので、すべてを見たいからふうふう言って無理して歩いてしまい、最後の方
 は本当にへばった。有名なメナム川も見たかったのだが、もうダメなりとホテ
 ルに戻る。

  帰りのタクシーから見える町の景色がまた面白くて、バンコックにもっとい
 たいと思った。運河脇にへばりつくようにして作りつけられているバラック群
 なんて、現代のものとは信じられないような風景だ。俺は人がたくさんいる所
 のほうが面白いんだな、雑踏もいやじゃないし。

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  ホテルで休憩し、空港に向かってプーケットへ発つ。フライトはあっという
 まだったが、着いたのは真っ暗な島でバンコックとの落差に驚く。出迎えてく
 れたイトコKの友人だという Mr.アドゥンという現地の人の車で宿へ走るが、
 真っ暗。すごい田舎の島らしい。人家や店があるとそこだけ蛍光灯の島となる。
 なぜか街灯がみな蛍光灯なのだ。日本じゃ街灯に蛍光灯を使うことなんかない
 ので、なぜなんだろうと不思議に感じる。質問したいがそんな問いに答えな
 どないだろうなと遠慮する。

  小さな集落をいくつか過ぎて、島の最南端の、そのまた奥の奥、舗装もない
 おそるべき崖ぞいの山道を車が入っていく。自分で運転してたら絶対渡れない
 ような木造の小橋をいくつも渡っていく。ややや、これはえらいところに来て
 しまった。

  着いてみるとホテルではなく、海沿いの林内キャンプ場風であった。その名
 もジャングルビーチリゾート、宿はバンガロー。めちゃナイスだが、レンタカー
 を借りない限りここから出ていきようがない。閉じ込められてしまった。Mが
 人のいないところがいいと頼んだそうだが、極端なところを見つけてくれたも
 のだ(アジアは中国の旧正月に入っていて他は取れなかったらしい)。だがそ
 れにしてもすごい秘境だ、わははと笑って夜が更けていく。


+++
■ 98/01/26(月) 07:36:00	 □ 青い珊瑚礁
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  月曜。疲れていて昨日からなにも書けず、ひたすら寝転がって本を読んでい
 た。夜が開けて林を抜け海辺に出てみると、小さな珊瑚のビーチがあった。昨
 日ここまで着いたら暑さ負けの疲れはなぜか吹き飛んで元気になってはいたの
 ものの、まだ疲れてはいたので1日本を読んでいた。椎名や山本夏彦など10
 冊持って来たのだが、毎日どうしても2冊読んでしまう。もっと持ってくるべ
 きだった。

  昼寝をした後またビーチに行くと、誰もいなかった。砂が熱過ぎてビーチに
 いられないのである。熱い熱いと飛び跳ねながら岩場に行くと、ざーっと大量
 の生き物が動いてぶったまげた。蟹だ。小さいけどうまそうだった。

  夕方日が陰ってからやっと水着で出ていく。小さくきれいな珊瑚礁の海だ。
 気持ちよい。海に入って波に打たれていると、まるでマッサージを受けている
 ように疲れが抜けていくなーとなごんだ。回りにいる家族連れはみなヨーロッ
 パの人々だった。考えてみればアメリカよりもヨーロッパのほうがはるかに近
 いのだ。なんかこういうリゾートに来てしまうと前に行ったハワイにいるよう
 な気分になり、バンガローの外はアジアなんだってことを忘れてしまう。表が
 騒がしいと、若いアメリカ人が歩いているような奇妙な錯覚を覚える。

  読むものが減ってきたので今日は日本で借りてきたタイ・ガイドブックを読
 んでたのだが、実は著者が秀逸で、タイの歴史や文化に着いての記述が非常に
 多くて面白かった。実際戦前戦後を通じて面白い国だなあと感心する。大戦中
 は日本と同盟を組んでいたらしいが、日本が負ける前にささっと抜けたのだそ
 うだ。カシコイ。本当に俺に時間と金と体力とズクがあったれば、バンコック
 とチェンマイをくまなくまわってみたいと感じる。


+++
■ 98/01/27(火) 07:36:00	 □ 灼熱の隣ホテル訪問
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   蚊。蚊である。蚊が昨夜現れ、眠れなくてまいった。俺はそれほど刺され
  なかったのだが、Mがひどいので気の毒で気になって眠れない。山口瞳を読
  みながらずっとMの足や肩に気をつけていても、どうしても蚊が見つからぬ。
  そうするうちにかゆさで彼女が目を覚まして疲れるの繰り返しで、散々な夜
  だった。

  それもこの地の果てにトラップされて買物に出られないからだよなあ。蚊よ
 けくらいどこでも売ってるだろうに。今日レンタカーで出る予定だったのだが、
 旧正月の休日で人が一杯だそうで、借りられなかったのだ。今朝は朝から爆竹
 が炸烈していた。

  レンタカーよりはむしろバイクを借りたいのだが、危険だから絶対よせと案
 内人にいわれた。「一日一件は必ず事故が起きている、このホテルのマネージャー
 が実際昨日事故った」。じっさい車から見ていてもよくわかるのだが、車と
 100cc バイクではパワーに差がありすぎるし、路面状況からいってもバイクで
 飛ばすのは難しい。そして追い越す際に車が車間距離をぜんぜん取ってくれな
 いので(道幅もやや狭い)、追い越されるバイクの方がギリギリまで左に寄っ
 て衝突を避けなければならないようになっている。側道は当然荒れているので
 決死の綱渡りなのである。

  Mがカワサキに乗っていたアフリカでもこれは全く同じだったそうで、牛車
 は押し退けられ家畜は問答無用で跳ね飛ばされていたそうだ。うーむ、なぜな
 んだろう? 「金持ちが車に乗り、貧乏人はそれ以外に乗るからよ。プアの命
 よりリッチの便利のほうが重要なのよ」。ひどいな。「車社会が作られる初期
 にそういう風潮ができちゃったんじゃない?」。うーむ。

  サイドカーのように屋台を脇にくくりつけて走ってるカブを見ると、まるで
 カシオの製品やスイスアーミーナイフを見るように俺は感動してしまうのだが
 ―――なんという完結性、1つで全てがOKではないか、と―――、あれはそ
 んなに牧歌的なものではないのかもしれんなあ。

  おととい椎名の中国旅行記を読み、昨夜は山口瞳の東京紀行文を読んだ。
 自分で旅行しながらこういうのを読むとたのしい。山口瞳は亡くなっちゃっ
 たよなあ。読みながらずっとそう思っていた。

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  ひと心地ついたところで海を見に行こうと誘ったら、Mは隣のホテルに行き
 たいと歩きだした。1kmそこそこの道のりだが、灼熱の山道をサンダルで歩い
 ていくのはめちゃしんどい。着く頃には心底ぐったりしてしまった。売店でジャ
 ンクフードを買うのが目的だったのだが(3日もお菓子を食べてないのだ、死
 ぬ!)、なんと売店はなし。水だけ買ってまたふうふういいながら帰る。隣の
 ホテルは高級リゾートでエメラルド・サンドの遠浅ビーチがすごかったが、う
 ちの静かな小さな珊瑚ビーチの方が快適だと思う。魚も多いし。

  この島はほんとにドイツ人とフランス人の欧州ピープルが多いのだが、女の
 人はビーチでトップレスでいることが多い。そういう文化らしいが、見たいけ
 ど見たら恥ずかしいという感じで目のやりどころに困る。まあ特別見たいよう
 な人はブラを着用されてることが多いんだけど(^_^;)。

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  晩飯を食いに食堂に行くと、子供がTVでサッカーを見ていた。おおタイリー
 グかと興奮する。タイはサッカー人気が高いらしいからな。見るとなかなかエ
 ネルギッシュにシュートを打ちまくっていて面白い。レベルが高い。子供はア
 ア! などと声を出して応援していた。俺もオオ! などと一緒に声を出すと、
 なんだろうこの人はという怪訝な顔をして俺を見ていた。

  ふと天井を見上げると、そこにはなんと多数のゲッコーが(笑)。ゲッコー
 たちはなわばり争いなのか、喉元に食らいつくような非常にビシャスな喧嘩を
 していた。けっこう荒っぽい生き物なんだなあ。蛾が明りめがけて飛んでくる
 とサササッと移動してキャッチするし、意外にアクティブな生物なのだと見直
 したのだった。ペットにしたらかなり面白いんではないだろうか。


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■ 98/01/28(水) 07:36:00	 □ お寺とバザール
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  今日はチャイニーズ・ニューイヤー。レンタカーを借りて、島内半周してき
 た。プーケットはまだあまり観光地化されてないのか道路に案内があまりなく、
 なにを見つけるものたいへんだったのだが、寺二つ、国立公園、プーケットの
 町、そしてバザールと回ってきてなかなか充実していた。バザールは日本のお
 祭りと同じで屋台が出るのだが、その数が半端ではなかった。数百の屋台に実
 に雑多なもの―――ほとんどはなんだか分からず―――が売っていて、見てい
 るだけで面白かった。

  道端の名もないお寺にいちいち雲を突くような巨大なお堂が建っているので
 驚く。それに田舎のお寺は全て近隣の野良犬のシェルターになってるのがナイ
 ス。こんな暑いところで犬が快適に暮らせるわけもないのだが(ほとんど全て
 の犬が皮膚病にかかっている)、お寺にいれば安全かつ食も足りて暮らしてい
 けるようで、見ていてうれしくなる。

  Mr.アドゥンの家にも寄ったのだが、純血のシャム子猫がいた。家もすごい
 家だったが、シャム猫がうらやましかった。

  タイというところは車はすごい高級なのが走ってるのだが、バイクは絶対2
 スト安物なのである。なんか「金持ちはさまざまにリッチだが、貧乏人は一様
 に貧乏だ」という言葉を思い出した(違ったかな?)。でもやっぱりバイクに
 乗ってる人々のほうがずっと幸せに見えるぜ、この空の下では。今日の気温は
 日陰で34度、車から出て歩くたびにクラクラするのだった。

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  誰か外で歌を歌ってるなあと思いつつうとうとしていて、晩飯を食いに食堂
 に行ってみたら男女二人組のバンドが入ってニューイヤーお祝いをやってるの
 だった。このホテルはなんかこんな最果てにありながらサービスがいいよなあ
 と驚く。二人は歌はうまいのだが選曲がわるく、誰もよろこんでないのでイラ
 イラする。俺にやらせろ(笑)。トムジョーンズなんかやってもアメリカ人は
 ここにはいないからウケないのだ。いや、たとえアメリカ人がいてもトムジョー
 ンズじゃウケないと思うけど。

  ドイツの歌をやってこの巨大なジャーマン人々を喜ばせてやればいいのに。
 そうでないならタイの歌をやればいいのである。ドイツの女の人を見るとつく
 づくデカイと思う、みんなグラフみたいだ。サッカーだって強いわけだわ。

  昨日も思ったのだが、家を離れているとなんか手持ちぶさたになり、ピアノ
 かギターが弾きたくなる。ピアノで「俺にやらせろ」は無理だが、ギターがあ
 れば地元のタイの若者たちと歌ったりできるんではないかなーと思う。共通で
 知ってる曲がないかもしれんけど。......タイの音楽状況ってどうなってるん
 だろう。バンコックでCD屋を覗くと日本よりちょっと古目のロックが揃って
 いるという感じだったけど。

    ----------------------
  今度は日本比1.5倍の巨大ゴキブリが登場。げげ、殺したいとスプレーを探
 すが見つからぬ。Mはたいしたことない、自分が捕まえるとティッシュ一枚握っ
 て(!)向かっていくが、手でなんか捕まるわけがない。そして俺がスプレー
 が見つからずうろたえてフロントに探しに行ったりしているうちに、彼女はサ
 ンダルでバンと一撃、殺してしまった。おおおおおおおおお!

  なんて君は強いのだMさんと恐れ入ると、なんで人々はゴキブリがそんなに
 恐いのよとMはいう。「そりゃ気持ち悪いけどハエに比べたらばい菌だってた
 いしたことないし、そんなに究極に恐れる理由がないじゃない」。いやしかし
 ....。「でもまあゴキブリって不死身なのよね、潰しても放っといたら復活し
 ていつまにか歩き去ったりするのよ。それが恐いんじゃないかしら」。ううう
 うううそうだそうだそうだ。

  カナダってゴキブリがいないんじゃないの? そうだわね、アフリカに行く
 まで見たことなかったわ。日本の人でも北海道人はゴキブリを全然恐れないん
 だよ。どうもあれは幼少時の恐怖体験と結びついてるんじゃないかと思われる。
 そんなことを話すが結局なぜこわいのかはよくわからんのだった。蛇なんかよ
 り恐い、というか厭だからなあ。

  しかしこういうときでも殺虫剤は使わせてくれんし、かゆくて眠れなくても
 蚊取り線香はいやがるし、オーガニック指向の人生はじっさいくたびれてぐっ
 たりするぜ。

    ----------------------
  とか思ってると、今度は屋根裏でカリカリカリとなにかが部屋に侵入しよう
 としている音が聞こえてきた。でで! 鼠か虫か。とりあえず壁をバンバンと
 連打して音で追い払う。うーん、さすがにジャングルにいるといろいろ来るわ。

  さっき殺虫剤を探しにフロントに行ったとき、すでに客はいなくなり、歌手
 と従業員たちがじつに和んでタイの歌を歌っていた。それでいいのだ(^_^)。
 寝よう。明日は雨になるかもしれない。それもまたよし。


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■ 98/01/29(木) 07:36:00	 □ トロピカルパラダイス
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  レンタカーを返すためにモーニングコールを頼んだら、8時に起こされてし
 まった。もう45分くらい寝てられたのに。しかし風が梢を鳴らし鳥が鳴き、
 最高にさわやかな朝。今日は一日のんびりしていようと思うが、もう木曜日、
 帰る日のことを考えはじめる。あの寝不足の秋葉原徘徊から長い時間が経って
 いるような気がする。

    ----------------------
  大昼寝をしてしまった。汗だく、夏の昼寝の心地よさ。Mは木陰のテラスで
 本を読みながらトロピカルパラダイスと何度も叫んでいた。まあじっさい今の
 長野の寒さは寒過ぎるが、日本でも待っていればこういう日は来るのだよな。
 1年中夏だというのはつらいように思う、やはり。歌も生まれないことだろう。

  晩飯にカレーを食べた。最初の一口は辛くて死ぬかと思ったが、うまかった。
 ここの料理人はうまいよな。ここは最果ての宿なのに、いろんな面でサービス
 が徹底しているので驚く。レンタカーの手配、飛行機の代理コンファーム、隣
 のビーチへの無料送迎、24時間送り迎え(有料だけど)、そして新年バンド
 演奏。タイ人の気質がサービス業に向いてるんだろうか。

  ついに最後に残った村上春樹を読みはじめてしまった。もう後には戻れない。
 数時間で終ってしまう。もうあとは書きものだけが暇潰しだなあ。

  タイもあと二日、Mはなにかアクティビティをしたがっているが、金もかか
 るし疲れているしで、なにごともなく過ぎてしまいそうな気がする。車を借り
 て島をもう一周するほどの名所はなさそうに見えるし、ちょっと中途半端だ。
 やっぱりスノーケルだろうな、お手軽に。

  昨夜屋根から侵入しようとしていた鼠(鳥かもしれない)がまた行動を開始
 した。おそろしや。ひたすら天井をバンバン叩いて追い払うのだった。


+++
■ 98/01/30(金) 07:36:00	 □ 熱帯魚の園
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  ついにスノーケルに挑戦。水に入る間もなく即、手の平ほどのシマダイやタ
 チウオ、異様なワームが見えた。やっぱり熱帯には熱帯魚がいるんだなあと感
 動。それにしてもすごいリッチな海だ。あまりにもたくさん魚がいるので飽か
 ず水に顔をつける。波に押されて岩や珊瑚礁に激突することだけが恐いのだが、
 片方が地面に両足をつけて立ち、片方がそれにしがみついて潜るというスーパー・
 チキン法を編み出して超安全なダイビングをしていたのだった。

  いったん休み、潮ががーっと引いたところで他のダイバーたちが潜っていた
 深みに行ってみる。意外とそこは足がつくところなのだった。そして潜ってみ
 るとさっきとは比較にならないほど魚影が濃い。うわーと声が出るほどたくさ
 んのブルー、イエローの魚、シマダイにエンジェルフィッシュともうよりどり
 みどり。Mが岸に上がったあとも一人で潜っていた。これは飽きないなー。人
 々が夢中になるのもむべなるかな。

  しばらくやっていて、フィンはスピードを上げるためではなく、狭い珊瑚の
 間をバタ足で進むためにあるのだと理解した。平泳ぎ足だと珊瑚で足を打って
 怪我をしてしまう。足にフィンをつけてリラックスして行けば、かなり沖にも
 たぶん行けるなと思った。なるほど、分かったぞ。沖までヘイヘイと出て行っ
 てしまう人々はみんな泳ぎに自信があるのかと思っていたが、みんなフィンを
 利してゆっくりパニックを起こさず泳ぐ方法を知ってるのだ(たぶん習って)。
 やっと分かったわ。いつかやってみよう。まあ息が苦しいのでそれほど長距離
 はいずれにせよ行けやしないのだが。

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  ふーと心地よい疲労を感じつつ晩飯を食べ、コーヒーを飲みながら明りにた
 かるゲッコーを眺めていた。ゲッコーは本当によく出来た精巧な生き物だ。造
 作に無駄がなくてきれいだ。そして虫が近寄ってくると忍耐に忍耐を重ねて、
 確実に食べてしまう。すばらしい (^_^)。


+++
■ 98/01/31(土) 07:36:00	 □ キングスカップ!
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  プーケット最後の日。昨夜は二人とも蚊のせいで熟睡できず疲れた。今夜清
 算を済ませて荷造りをし、明日5時出発である。しんどい。でもまあ帰れるの
 はうれしいのだが―――毎日暑くて快適だが、やっぱりお山が恋しいと泣いて
 はどじょうを困らせた。実際読む本がなくなった昨日から退屈が襲ってきてい
 る。今日はもうかなり猛烈に退屈しており、Mとニュースをずっと見ているの
 だ。

  TVはなぜか1chだけが映り、それがCNNワールドサービス。ワールドサー
 ビスとは名ばかりのアメリカニュース中心で、クリントンが秘書だかなんだか
 のブス女をこましたかどうかというのを延々とやっていてわずらわしい。

  昨日あたりから軽い下痢をしてしまっている。絶対ひどいのにやられると覚
 悟してたのでこれまで大丈夫だったのが不思議なくらいだが。Mもやや下痢気
 味とのこと。じっさい食べ物にも必ず水が入ってるわけで、氷の入った飲物と
 かサラダなどの生ものは避けたほうがいいんだろうな。こないだのお祭りで我
 慢できずかき氷なんか食ってしまった。まあそれが直接の原因ではないだろう
 けど、気をつけるに越したことはない。

    ----------------------
  海でがーっと泳ぎ、シャワーを浴びたら腹が減ったので早い晩飯にした。
 またカレー。タイのカレーはほんとにうまい。

  食べ終ってふとTVを見るとまたサッカーをやっていた。えらいレベルが高
 いのでタイリーグおそるべしと思ってると、あれどこかで見たユニフォーム。
 ん? あれれこれは韓国代表じゃないか。ああああ、キングスカップか、すご
 い! そう驚きド興奮していると、TVを見ていたまわりのおっちゃんたちが
 よろこんでくれ、一緒に観戦となった。「(お前は)ジャパニーズか?」「イ
 エス、そうなんだけど、韓国はライバルだから好きなんだよ」「おおー(ニコ
 ニコ)」。考えてみたらこないだの「レベルの高いタイリーグ」も、たぶんキ
 ングスカップだったんだろうな。まじめに観戦すればよかった。

  残念ながら見始めたのは後半残り10分のところ。そんな時間帯によくこん
 なにどっちも走れるな、この暑い国でと感心。韓国はオフシーズンなんかぜん
 ぜん取らないで練習してるんだろうなー。が、明らかにエジプトのほうがレベ
 ルが高く、美しくうまいサッカーを展開していた。韓国は例の韓国の中田・コ
 ジョンスが代表に復活してるのが目につくくらいで、攻撃はゴール前に放り込
 むのみでまるきり崩せていない。ハーフラインからゴール前に放り込むなよ、
 それじゃ日本からだって点は取れんよ。若手のテストをやってるんだろうけど、
 アジア以外が相手では韓国もこんなもんかなー。

  1ー1からなぜか延長なしのPK戦になり韓国が勝ったのだが(決勝だった
 のだろうか?)、うーんという感じの試合だった。エジプトあたり―――アフ
 リカの二戦級の国だろう―――とやってこれだけレベルの違いが出てしまうの
 ではなー。日本とて人のことをいえた立場ではないが、あんなにきれいなサッ
 カーをむざむざやらせはしないと思う。それともあの策士・車監督が、このひ
 たすら走り込みサッカーをベースに新たな戦術を編み出そうとしているところ
 なんだろうか。10分しか見れなかったので分からん。

    ----------------------
  9時44分、荷造り終了。Mがここの従業員にチップをあげようというので、
 食堂に常駐しているウェイターとフロントのウット君、それから掃除係の人々
 へと 500bt 置いてきた。じっさいここは実にいいところだった。宿代はタイ
 としては安くはないのだろうが、食堂が安く、他に何もないのでまるで金がか
 からないのが助かった。ウット君をはじめみんなにこやかでよかったしな。

  ウェイターの片方は顔と体型がまるでブラジル人で、昔ここに住んでいたと
 いうポルトガル人の子孫に間違いない。もう片方は日本人にも似ているし、ウッ
 ト君はタイの大学生という感じそのまま、タイ人というのは実にいろんな人種
 が入り交じってるのだなとここにいるだけで分かっておもしろかったわ。世話
 をしてくれた Mr.アドゥルはインド系だし。

  ハワイとタイとどちらが好きかと聞かれ、そりゃタイのほうが面白いに決まっ
 てると俺は答えた。ハワイは言葉の苦労もないし観光名所もあってのんびりし
 ているとリゾート気分満点でいいけれど、面白さでいったらタイのほうがずっ
 とすごい。ハワイは USA.の一部にすぎないという味気なさがある。食い物を
 比較したってものすごい差だし。Mは暑過ぎるのがちょっとしんどい、ハワイ
 のほうが過ごしやすいと言っていた。それはある。だけど本当に面白い国であっ
 たことよ。


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■ 98/02/01(日) 23:15:21	 □ 一転氷の世界
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   ずっとずっと楽しみにし、海を超え1000マイルを飛んできた我が家は
  氷の世界だった (;_;)。植物全滅、水道凍結、配水管凍結、飲料水フィルター
  凍結......。なんという寒い人生かと泣けてくる。



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